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東京を流れている川の河川敷にあるテント村が、工事によって追い出されようとしている。
その工事は、テント村のあるところを湿地にして自然観察園にするという、おそらく実現してもほとんど利用する人がいないと思われる計画のために行われている。 河川敷には、大きな柳(テント村住人が植えたという伝説あり)が10数本立っていたのだが、それは切り倒してしまった、、、自然を大切にするという題目からも矛盾しているのだが。 そこには、猫がたくさんいる。 飼われていた猫は、小屋とともに移動した奴もいる。 しかし、餌だけをもらっていた奴は、そのままになっている。あたりの草木は刈られて丸裸になり、居場所もあまりなく、餌をくれる人も減ってしまった。 猫だらけの状態なのである。 もちろん、もともとは捨て猫たちである。 空き缶収集などでの微々たる(失礼)収入の中から、住んでいた人たちが餌を捻出していたのである。 その他、猫ボランティアの人たちも来ていて、餌をあげてている。 Kさんというたくさんの猫を飼っている人がいる。 Kさんは、行政の圧力のために、他の場所に移動した。 しかし、猫の移動に時間がかかるために、小屋はしばらく残していた。Kさんは、すべてが猫優先、の人だ。 猫の移動が終わってから、小屋は壊したが、Kさんが餌を与えていた自分の猫(それでも7匹くらいはいる)以外のいわば野良猫たちのために、近くに小屋を再建した。 猫小屋である。 ぼくと同じテント村に住むIさんとぼくは、一応絵描きでもあるために、Kさんとともに猫小屋の装飾をすることになった。 そうなって分かったことだが、Kさんは、もともと絵描きになりたい気持ちがあったそうで、ペンキ屋や看板屋ならばやったことがあるそうだ。 猫小屋といっても、はっきり言って、人が一人充分に住めるくらいの大きさがある。 猫小屋全体で1匹の猫にすることにした。 河川敷には、行政に壊された小屋の資材があちこちに放置してある。 入り口を顔にして、小屋の上に耳をつけ、木の枝で髭をつけると、、、猫である。 しっぽをホースで小屋の上につけると、ますます猫である。 Kさんは職人的な手際の良さでもって、ぼくらがやろうとすることを、材木を組み合わせて実現した。 2回目の作業は、さらに小屋サイズの猫に色をつけることと、小屋の側面に、その猫にじゃれる子猫たちを描くことになった。 Kさんは、「スケッチしようかと思ったんだけど、、時間がなくて、、」といいつつも、下書きもなしにいきなりペンキで、赤い鞠と白い猫をブルーシートの上に描いた。 ぼくも、その場にウロウロしている猫たちをスケッチして、側面に描いた。 Iさんが描いた小屋サイズの猫の顔は、ぼくらが公園で飼っている猫に似ている。 少し、ひいて全体を眺め歩いたKさんは、うれしそうに「すばらしい」と言った。 いや、たしかに素晴らしい猫小屋になった。 河川敷に残っている住人の方々や、近所のテント村の人たちが、10人くらい小屋を見にきて、口ぐちに誉めるのだった。 「納得した!」「猫バス(トトロ)みたいだ」「動き出しそうだ」「素晴らしい」 普段は口数の少ないKさんも「みんなも猫の絵を描いたらどうかと思って、、。ドラえもんでもいいんだから。」と言う。 本当に、猫小屋は輝いて見えた。
by isourou1
| 2011-12-23 14:27
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