フォロー中のブログ
外部リンク
連絡
abisoourou@gmail.com(先頭のabを削除してください)
記事ランキング
|
仮に、自分が配達員だとしてテント村を訪れることを考えるとその経験には、ワクワクする部分があるだろう。いや、実際はもちろん仕事に倦んでいて面倒に思うだけかもしれない。しかし、前にも書いたかもしれないが、郵便には郵便独自の思想やポリシーというものがあるはずだ。それを如実に感じたのは、大阪の長居公園が行政代執行を受け、500名を超えるガードマンや職員にテント村が取り囲まれた時のことだった。強制排除は有無を言わせず進み、残るは数人のメンバーだけになっていた。あたりは怒号が飛び事態は緊迫していた。その時に、郵便局の赤いバイクが近づき、郵便屋さんが幾重にも立ち並んだ警備員の前に現れた。長居公園のテント村にはポストがあったのである。排除された支援者たちが、郵便屋さんを入れろ、と言い、少し騒ぎになった。郵便屋さんは、職員と交渉し、ついに警備員のバリケードを割って入り、(もうすでにポストは排除されていたはず)、最後に残った数人の一人に手紙の束を渡した。内容は、強制排除に抗議し仲間を応援するメッセージだった。それは、その場で読み上げられた。あれは、いい場面だった。きっと郵便屋さんは職務を遂行しただけであったが、(それをいえば警備員もまた職務を遂行しただけであった)、その郵便の職務には、どのような場所や場合においても通信・信書の自由を守る、という思想が含まれていたわけだった。それが、鮮烈に現れたからこそ、あの時の郵便屋さんは格好いいと正直に思えた。郵便には、どんな山奥、離れ小島にも手紙を届けるという信念がある。それは、橋の下であろうが、ポストがあるところにはどこにも届けるということでもあった。だから、テント村にも、もちろん届けてくれる。(ぼくは、郵便局に発泡スチロールで作った手製のポストを持っていって、これに届けてください、と交渉した。)。
前置きが長くなったが、テント村に訪れる郵便屋さんには様々な人がいる。どういう風に仕事を分担しているのか、アルバイトなのか、よく分からないが、どんどんと人が変わるような気がする。だから、場所について改めて説明しないといけない場合もある。にこやかな人もいる。平然としている人もいる。しかし、誰からも嫌な印象を受けない。ぼくだったら(あくまでもぼくだったら)、テント村に届けるのは、少し晴れやかな気持ちになるだろう。なぜなら、仕事の本質的な部分が(長居公園の時ほどではないにせよ)くっきりと感じられるだろうから。受け取る側としても、信頼感をもって対することができるので、気持ちがいい。ちなみに、宅急便はどうか。テント村まで持ってきてくれる会社はない。(それはこのテント村の地理的条件にも左右されているのかもしれない。つまり、車を路肩にとめてしばらく歩かないといけないから。)クロネコヤマトは、近くの門前まで持ってくるのでそこで受け取ることが出来る。メール便は格安でいいのだがポストまでの配達のため受け取れない。この場合、近くの営業所止めという手がある。実際、これでたまに受け取っている。佐川急便は門前での手渡しはやってくれない。今まで何度も送付人に荷物が送り返されている。営業所での受け取りは出来るかもしれないが、まだやったことがない。やはり、民営化したといっても、郵便局が一番信頼できるようである。
by isourou1
| 2012-10-23 00:04
| ホームレス文化
|
ファン申請 |
||