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この公園の名前を冠した新聞をIさんと発行している。それが10号になった。1号目は2013年の秋でずいぶんと昔だが、最近は1、2ヶ月に1回ペースで出している。内容は、テント村を中心に近隣公園などでの出来事。多くは、管理側との闘い、やりとり、などである。この新聞の特徴の1つは、その発行部数の少なさである。対象をテント村とその周辺で寝ている人に限っているために、40部くらいしか作っていない超ローカル新聞なのである。 「小川さん、新聞もらえる?」とテントなしで寝ている人が急にぼくを訪ねてきたりする。また、配っていると「お、新聞?」といわれたりもするくらいは定着してきた。 この新聞をはじめるまでは、ずいぶんと長いためらいの時間があった。主な理由は2つあって、新聞を作って配るという行為自体が、関係性を作ってしまうという懸念があった。有意の情報を持つ人から、情報を持たない人に呼びかけを行うという関係になってしまう。さらにいえば、支援組織が定例の新聞を出していて、テント村などにも配布することもあったので、新聞出す人=活動家支援者、新聞を受け取る人=野宿者ということに類似してしまうという危険性があった。ぼくたちは、1テント村住人として存在するのが理想だったのである。もう一点は、テント村の中には管理側と仲良くしている人がいて、そのような人から情報が抜けてしまうのが気分良くなかった。というより、そういう人に新聞を渡すかどうかを考えるのが面倒だった。管理側と仲良くする、といっても、自分の小屋を守るための戦略だったり、他の住人に対し優位を示すためだったり、単に話し相手がほしいからだったり、それらが混ざっていたりと様々であった。 新聞を出してみてわかったことは、いずれにせよ、管理側には渡るということだった。はじめから見られても問題がないことしか書かないし書けない。それは、このブログでも同様である。管理側が熱心な読者であることは自明なことなので、書けることは大幅に制限されている。これは、そういうものと思うしかない。 関係性の問題は、見切り発車になった。東京にオリンピックが決まって、憶測情報が流れる中で、少しでも正確な情報を知らせたいと思った。また、追い出しムードが進む中で、つながりを作って闘う気運を作らなければ、ここで暮らすことが難しくなると判断した。 その結果、もともと活動家みたいに思われていた部分はあったのが強化はされたと思う。誰かが活動家みたいになって、その人に闘うことはまかせよう、みたいな形になるのは不幸なことだ。生活すること、居ること、が闘いの基本であって、その延長の中で具体的な闘いの方策が生まれるならば、ある意味ですべての人が活動家である(もしくは誰も活動家ではない)。ぼくたちがテントに住んでいることを知っている人たちの中で新聞を作っていることが、そういう意味で重要なことだと思っている。 テント村の一人が、競馬予想を掲載したい、と言ってきたことがあった。ぼくは、それもいいな、と思ったのだが、他の住人が、これはまじめな新聞なんだからそういうのはダメだ、とそれこそマジメに反論したために、なしになった。競馬予想はともかく、そういう風に広がっていくならけっこう楽しい。
by isourou1
| 2017-03-12 23:22
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