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その頃のTさんは、大阪の天王寺に小屋をつくって住んでいた。Tさんの小屋は、天王寺公園に向かう歩道橋のようなところにあった。眼下は動物園で、フラミンゴの鳴き声で目が覚めると言っていたような言ってなかったような。 Tさんの小屋は、Tさんの筆になるメッセージ(「地球に寝る」など)が書いてあり、各種イベントや集会などのフライヤーが下げられていた。Tさんが、道の脇にあるという地の利を生かして、小屋自体をメディアとして機能させていることにぼくは驚いた。また、毎週小屋で居酒屋だったか?をやったり、ライブなどもやったりしていたような気がする。ずいぶん前(8年くらい前のことだったと思う)のことだから、記憶は曖昧なのだが。 そして、そのころのTさんは、自作の詩や短歌の朗読をやっていた。そのスタイルは、びっくりして大声で飛び上がる、という感じのものだった。ワァと大声で驚かせようとして自分が驚いて飛び上がった、というような、、、抽象的な言い方だが、ぼくの印象はそんな風だ。エノアールで、詩の朗読会を開いたこともあった。存在感は抜群。そんなTさんは、西成の公園にその後移ったのだったけ、、。ここのところ、ずいぶんとご無沙汰だった。 夕方、テントに自転車で戻ろうとしていると、テント村のEさんと誰かが話していた。大柄のEさんの陰に立つようにして、白ずくめの人、、、しかし、顔を見れば、その人なつっこい笑顔にすぐにTさんだと分かった。 そう、いつの間にか、Tさんはお遍路さんになっていたのだ。白装束といっても、よく見ると、下は白いトレパンだった、そんなところがTさんらしいな、と思ったのだが。Tさんは、昨年9月に旅に出て、九州を回り、その後東北を回ってきたところだという。もちろん、すべて徒歩だ。驚いてしまった。すごいことだ。Tさんは64才。年は関係ないかもしれないが、いずれにせよ、すごい。「集団は苦手で、、。本能で、、。」とTさん。喜捨だけで旅を続けているらしい。内面は分からないことだけど、悲壮感は感じられない。ぼくからも見ても、Tさんに合っている生活だなぁ、と思ったし、Tさんもスッキリとした印象だ。スーパーの前で喜捨をしているらしかったが、東京に近づくに従ってあまり集まらない、という話だった。それでも、新宿や原宿での喜捨はいくらか入ったらしい。 夜になって、公園でテントを張ったらしいが、朝に警備員に注意を受け起こされたとのことだ。そういうこともあったせいか、しばらくここでゆっくりするつもりもあったようだったが、一泊で次に歩きだすことになった。 街で喜捨をしているところへ同行しようと思ったが、用事があり、とりあえず、記念に写真を撮らせてもらった。Tさんは、丘の上ですげ笠をかぶり、遍路の一式を見につけ、般若心経までも念じてくれた。これから、四国へと向かうという話だった。
by isourou1
| 2014-11-04 23:49
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