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花見の季節である。桜はまだ5分咲きだけど、晴天の今日(4月2日)の公園は最高の人出であった。そして、このブログでも何回も書いていると思うが、花見シーズンこそ私たちのかきいれ時なのである。ブルーシートや(好きな人は)お酒、お菓子、アルミ缶などが無尽蔵に手に入る。花見客が捨てていくからである。今日はエノアールの花見であった。 そして、長年の構想を温めていた「Y公園もらい隊」が発足するにはもってこいの日であった。エノアール花見では、次第に形骸化してきているとはいえ、一芸大会が開かれる。一年で最大の晴れ舞台と準備に余念がないケンさんによる、競馬中継、日本の県庁所在地・アメリカの州都、山の手線の英語車内アナウンスといったクドいくらいの暗記芸や司会者であったさくらさんのカラオケの熱唱、参加者による様々な歌などが、今年も披露された。 近くに座っていた方の「帰る人に声をかければいくらでも物がもらえそうだな」という発言に我が意を得たりと、とりあえず一芸の枠でY公園もらい隊を発表することにした。従前より、のぼり旗は用意していた。カーテンとハンガーで作ったむしろ旗である。 まずは、もらい隊の歌をみんなで唱和した。こんな感じの簡単な歌詞である。 Y公園花見です あまった食べ物もらいたい おいしいお酒ももらいたい Y公園もらい隊 Y公園花見です そろそろ寒くなってきた あまった食べ物もらいたい Y公園もらい隊 メロディは考えたつもりだったが、あいまいだったため適当であった。一部のみなさんは恥ずかしそうに、大半は大声で唱和。まわりの花見客は何事かと注目。喉を暖めたところで、小さなトラメガと地声を張り上げて歌いながら、のぼりをはためかせて有志6名で出発した。最後尾には台車。若者もいたが自分も含めておっさん度が高い。かなりの異形の集団である。が、いきなり隣の団体からお菓子などが投げ銭的に飛んできた。これは幸先がよい。歌に力が入る。そうすると、まだ4時前で帰るには早い時間でもあるはずだが、次次と声がかかる。おつまみやお菓子、ビールなど。袋にどんどんとたまっていく。逆サンタクロース状態である。すばらしい。花見連帯。とはいえ、けげんな表情な方も多くいる。それは仕方ない。「花見もそろそろあきてきた」とか「お金もついでももらいたい」とかいい加減な歌詞も付け足した。異国の人たちの集まりでは「これ持っていって」と言われる。しめされた先には、酔いつぶれて毛布がかけられた人のくるぶしが見えた。「俺ももらいたい」とカタコトで言ってくる方もいた。「じゃあ、一緒にやりましょう」と誘うと「いやぁ、ちょっと」。すかさず、隊員が「これ差し上げます」ともらったばかりのビールを進呈。すばらしい。花見連帯。こうして、初回のもらい隊の出陣は大成功であった。副次的な効能として、私たちのところまで食べ物・飲み物を持ってきてくれる人も続出。その度に拍手。盛り上がってくる。隣の団体がひきあげる時に、アルミ缶ももらう。すると、次から次ぎへとあまったツマミや自家製漬け物などが差し出される。拍手。さらには、一人の若者が自分の毛糸の帽子まで脱いでくれようとする。完全に酔っぱらっている。彼は「愛と平和」と叫んだ。すばらしい。花見連帯。 約1時間後、少し暗くなり、帰る人たちも目に付きはじめた。そこで、第二次Y公園もらい隊6名が歌いながら出発した。しかし、方向を誤ったらしい。私たちが陣取っていた周縁部から、まだまだ花見で盛り上がろうとしている中心地へ向かってしまった。群衆にまぎれてしまって、もらい隊のアピールが低かった。反応なし。きびしい。しかし、やはり適度に空いているところに戻ると、ぼちぼち集まりだした。酎ハイやお菓子、ソフトドリンク、手作り総菜の残り。第二次もそこそこの成功を納めた。そして、やはり副次的効能として、その後も食べ物・飲み物が集まり続けた。「今度からは手ぶらで花見をしよう」と隊員の一人は言った。たしかに、それで充分に花見ができるような気がする。 最後に通りがかりの酔客にのぼりを奪われるという珍事が発生。隊員の一人がすかさず取り返したが、こうした負の反応が起こるのも、もらい隊の一面であるかもしれない。 少なからぬ野宿者たちはきっちりと公園のゴミ捨て場から飲食物を得ている。もらい隊はそうしたことをベースにしつつも、積極的に相手からもらう=引き出すことを試みたものである。 そして、いつの日にか、近隣の商店街でもらい隊を野宿者中心にして、やってみたい。それこそが本番だと思う。積極的に自分たちをアピールしながら、今までそれほど強くなかった地元との結びつきが深まれば楽しいにちがいない。
by isourou1
| 2017-04-06 22:03
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