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移転は、よーいドンで行う、と管理側は言っていた。そして、その日がやってきた。朝10時。指定地へと向かうと、それぞれ自分のテントをたてたい場所に、なんとなく不安げに立っている。面白いことに、アパートに入った人たちも2人きている。彼らは指定地に入れるわけではないのだが、気になってやってきたのだ。一人のおじさんは前日「俺にも場所くれねぇかな。猫の額でいいからさぁ」と冗談をいっていた。総勢15名ほどの管理側が、メガホンで「今から説明しますので、集まってください」という。彼らを囲むように集まった。「えーと、白いテープの内側が指定地です。そこの中で場所を決めてください。くぼんだ場所とかもありますので気をつけて選んでください。重なった場合は話し合いで決めてください。場所取りに関しては代理でもいいですが、確定する時は本人でお願いします。確定したらその場で杭を打ちます。では、われわれはいったん事務所に引き上げます。」えー帰るのかよ、という声。バラバラと自分の選んだ場所に散っていく。予想したとおり、高台は密集し、低地は、俺の天下だ、と言っていたおじさんの家のまわりをさけて、場所を取った。ぼくたちは、高台はあきらめ、人気のないあたりを選ぶことにした。特に混乱も諍いもなく場所は決まっていく。「そこは水はけが悪いよ。」と数人の人が心配して声をかけてくれた。たしかに、水がたまりそうである。
管理側がきて、誓約書を書いてくれ、という。誓約書を友人がビデオに撮っていると、「あんた誰?」と詰問してきた。また、Iさんは、誓約書の一部(宴会、集会、の部分)を線で消して提出したら、「これじゃ受け取れない」と押し問答になる。「みんなこれで出してくれてるんだよ。反抗的態度とみなすよ。別にあんた移らなくてもいいよ。」などなど。Iさんは誓約書を書き直された。 早速、猫の額おじさんは、酒をみなに振る舞い、移転を祝っていた。彼は、このテント村の現最高齢のおじいさん(杖なしには歩けない)の手をひっぱりながら連れてきて、仲間入りさせていた。 それから、数日たつが、多くの人がまだ移転をしていない。
by isourou1
| 2006-10-16 00:20
| ホームレス文化
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